文書作成日:2026/04/21
「時間外労働・休日労働に関する協定」(以下、「36協定」という)を年度単位で締結されている企業が多くあるかと思います。毎年、36協定の締結・届出をしていても、その運用に問題があるケースが少なくありません。そこで、以下では36協定を遵守するための実務上の注意点を解説します。
[1]日常的なチェックポイント
36協定で協定した内容を遵守するため、日常的に、以下の2点をチェックする必要があります。
- 「1日」「1ヶ月」「1年」のそれぞれの時間外労働が、36協定で定めた時間を超えないこと
- 法定休日労働の回数・時間が、36協定で定めた回数・時間を超えないこと
1.については、「1日」「1ヶ月」「1年」のそれぞれの時間外労働の時間数を管理する必要があります。特に「1年」は、例えば9ヶ月目に1年の時間外労働の上限に達することで、それ以降の時間外労働が全くできない、といった事態にならないように、起算日からトータルで集計し、管理する必要があります。
次に2.については、36協定で協定した内容で収まるようにする必要があります。例えば、法定休日労働の回数が2回とされているのであれば、その範囲に収まるような休日の確保をすることが必要です。
[2]特別条項を適用した場合のチェックポイント
36協定に特別条項を付け、実際に適用する際には、以下の3点について注意が必要です。
- 36協定で協定した特別条項を適用する場合の手続きを確実に行うこと
- 特別条項を適用する回数が36協定で協定した回数を超えないこと
- 1ヶ月の時間外労働と法定休日労働の時間数の合計(以下、「合計時間数」という)が、単月で100時間未満、2〜6ヶ月の平均をとって1ヶ月当たり80時間以下であること
1.については、特別条項を適用するごとに、36協定で定めた手続きを行う必要があります。例えば、「過半数代表者に対する事前申し入れ」とした場合には、特別条項を適用するごとに申し入れる必要があります。
2.については、例えば36協定で「6回」と定めた場合、従業員ごとに6回を超えないように管理することが求められます。なお、特別条項の回数は最大6回とされています。
3.については、例えば合計時間数について1ヶ月90時間と締結した場合、まず、1ヶ月目は90時間以下とする必要があります。これに加え、1ヶ月目以降を起算とした2〜6ヶ月の平均の時間数は、1ヶ月あたり80時間以下とする必要があります(絶対的上限規制)。そのため、1ヶ月目の合計時間数が90時間であった場合、2ヶ月目は70時間以下としなければなりません。この2〜6ヶ月の平均は、36協定の有効期間にしばられることなく、前後の36協定の期間をまたいで適用されます。
特別条項を適用した従業員に対して、会社は36協定で定めるいわゆる「健康福祉確保措置」を実施し、この実施状況に関する記録を36協定の有効期間中および有効期間の満了後3年間保存する必要があります。対象になったときは必ず実施するとともに、記録を残しておきましょう。
■参考リンク
厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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